函谷鉾(かんこほこ)

函谷鉾
 紀元前270年頃の中国4君の一人に数えられる政治家の孟嘗君(もうしょうくん)が部下による鶏の鳴き声の真似によって函谷関を脱出でき、一命を取り留めた故事は鶏鳴狗盗(けいめいくとう)として知られていますが、この故事に因んで函谷鉾と名付けられました。

鉾頭 真木
 22メートルの長い真木の先端の三角形が山を現し、その上に金属の三日月が光っていて、真木のなかほどに取り付けられている「天王座(てんのうざ)」の孟嘗君とその下の雌雄の鶏が山中の闇と函谷関の物語を表現しています。

前掛(まえかけ)
 国の重要文化財に指定されている貴重なもので、16世紀末に織られた毛綴(タペストリ)を所蔵していますが、巡行当日に見られるものは2006年(平成18年)に復原新調されたものです。旧約聖書創世記「アブラハム子イサクの嫁選び」の場面が描かれています。

水引、胴掛
 水引は豪華な手織錦で山鹿清華(やまがせいか)図案による群鶏図(ぐんけいず)を掛けています。胴掛は三枚継ぎで前が梅に虎を織り出した李朝17世紀の朝鮮緞通、中央が花文唐草模様のコーカサス緞通、後ろが2頭の獅子が踊る玉取獅子図の中国緞通で巡行時に鑑賞できます。

見送(みおくり)
 下の写真は皆川泰蔵作の「エジプト天空図」を掛けていますが、弘法大師真筆と伝わる紺地金泥の金剛界礼懺文(こんごうかいらいさいもん)を復元新調したものなどが使われることもあります。

稚児人形
 左大臣一条忠春の子、実良(さねよし) をモデルとした等身大の人形が使われています。実良は稚児として函谷鉾に乗り込むことになっていたのが実現しませんでした。

函谷鉾の鉾町 
 京都市下京区四条通烏丸西入函谷鉾町